インタビュー

りんご+ヨーグルトで腸内環境にダブルの効果を

ヨーグルトはなぜ体に良いのか?

ヨーグルトには、5大栄養素といわれるタンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンがすべて含まれており、バランスのよい食材です。さらに、乳酸菌も含まれていることから、腸内環境を整える効果が期待できます。
腸は“第二の脳”ともいわれるくらい神経細胞が集まっていて、人間の体の中で要となるものです。腸を元気に保つことが、健康を維持する大きな要因といえます。ヨーグルトには整腸作用があるので、おなかがゆるくなりがちな人にも、便秘の人にも、どちらにもおすすめですが、大切なのは継続するということ。たまに食べるよりも、毎日欠かさずに食べることが重要です。

継続するコツは、自分が続けやすいタイミングを見つけることです。私の場合は、起き掛けなんですが、朝起きたらまずヨーグルトを食べるのを習慣にすることで、無理なく続けることができています。1日3食の中で考えると、やはり朝食が多くの人にとって取り入れやすいタイミングでしょうね。継続してヨーグルトを食べると、早ければ2週間ぐらいで、便秘が解消したり、肌の状態がよくなったりと、何らかの効果が感じられるかもしれません。

もう1つ、ヨーグルトの良いところは、調理がいらず、そのまま食べられるということです。料理にも使えますし、おやつにもデザートにもなります。手間がかからない上にデザート感や特別感があることも、継続のしやすさにつながりますから、この点も大きなポイントといえるでしょう。

りんごヨーグルトにはメリットがたくさん

りんごには、水溶性食物繊維のペクチンが豊富に含まれています。ペクチンは、いわば、“乳酸菌のエサ”としてこれを活性化する働きもします。ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内環境を整える働きがあるのはよく知られていますが、ヨーグルトと、ペクチンを含むりんごの組み合わせは、腸内環境にはダブルの効果があるといえますから、とてもおすすめです。

腸内環境は、身体・健康面だけでなく、精神面にも影響を与えます。特に成長期の子どもにとって、興奮・覚醒に関わる交感神経と、眠りやリラックスに関わる副交感神経の両系統からなる自律神経のバランスを整えることは重要です。腸内環境は、この自律神経と関連しているといわれますので、バランスのよい食事で腸内環境を整えることは、メンタルの安定につながるでしょう。

また、肌の状態と腸内環境も深い関わりがあります。腸は必要な栄養を吸収し、老廃物を排出する器官ですが、便秘とはこのサイクルが上手く回らず不安定になっている状態になります。りんごヨーグルトを継続して食べることで、腸内環境が整う上に、りんごに含まれる食物繊維により便のカサが増し、腸の運動が活発になって便通の改善が期待できます。

ジュニアアスリートの補食にもおすすめ

スポーツをしている子どもは、していない子よりも必要なエネルギー量が多くなります。驚かれるかもしれませんが、30〜40代のあまり運動をしない人よりも、8〜10歳ぐらいの活発に活動する子どもの方が、必要なエネルギー量は大きいのです。ですから、子どもは体が小さいからそんなに食べなくてもいいと思ったら間違いなんですよ。子どもは毎日の活動分に加えて、体を成長させる分のエネルギーが必要ですし、スポーツをしている子であれば疲労回復に使う分も必要です。

しかし、子どもは一度にたくさんの量は食べられませんから、食べる回数を増やしてあげなければいけません。それが補食なんですが、補食にはおにぎりでもサンドイッチでも、果物でもいいので、何かしら健康価値のあるものを、バリエーションを付けて食べさせてあげるといいと思います。特に食の細い子は食べることで苦労するかもしれませんが、りんごヨーグルトは食べやすいのでおすすめですよ。水分補給になりますし、ビタミンを摂ることもできます。
毎日の生活の中で、いつも栄養バランスがパーフェクトというのは難しく、ある栄養素は豊富だけど、別の栄養素は含まれてないということもありまよね。りんごとヨーグルトを一緒に食べると、様々な栄養素をひと通り摂取でき、円グラフにした時にすべての栄養素が欠けることがなく、理想的な食事になるので、おすすめです。

健康価値のあるりんごやヨーグルトと、子どもの好きなお菓子を並べても、子どもはお菓子を取りがちです。そのような状況をつくらないように環境を整えてあげるのは大人の役目です。何が体に良いのかということを親が子ども伝えていく、そうするとやがて子ども自身がチョイスできるようになるのです。

りんごヨーグルトをおいしく食べるヒント

子どもにも大人にもおすすめのりんごヨーグルトを、いっそう楽しく、おいしく食べるヒントをご紹介しましょう。
私の一番のおすすめは「ホットりんごヨーグルト」。ヨーグルトをホットで?と意外に思われるかもしれませんが、とってもおいしくて朝食にも夜食にもぴったりです。調理方法はとっても簡単で、ヨーグルトを耐熱容器に移してレンジで温めるだけ。カットしたりんごを入れてから温めてもいいですし、後からのせても、すりおろしてもいいです。これから段々と寒くなって風邪がはやったりしますが、免疫力アップが期待できる「ホットりんごヨーグルト」は、風邪予防という面でもいいと思います。

もう1つは「焼きりんごヨーグルト」です。これは、りんごの芯の部分をくり抜いて、そこにヨーグルトを詰めます。それをレンジとオーブントースターを使って加熱して、焼きりんごに仕上げます。子どものおやつにぴったりで、冷めてもおいしくいただけます。

普段の食事の中であれば、「りんごヨーグルトのドレッシング」が、幅広く使えます。ヨーグルトにすりおろしたりんご、または小さな角切りにしたりんごを入れます。そこにオリーブオイルやビネガーなどを加えて混ぜ合わせるだけですから、手軽に作れますよ。一般的なドレッシングよりも栄養価が高まりますし、皮ごと角切りにしたりんごは見た目にもきれいですから、ぜひ試していただきたいです。

新生暁子(管理栄養士)

(独)国立健康・栄養研究所 栄養教育プログラム食育プロジェクトにて技術補助員として勤務。食事から肥満を克服するための栄養教育にあたる。2008年には高橋尚子率いる『チームQ』にて栄養・調理担当としてチームに加わり、日本・米国での合宿に帯同して食事全般をサポート。2010年には特定健診・特定保健指導を開始し、メタボリックシンドロームの予防・解消に重点をおいた生活習慣病予防のための健診・保健指導を行う。さらに、現在は日本大学ラグビー部の管理栄養士としても活動しており、スポーツ選手への栄養サポートやスポーツ栄養の啓発に力を入れている。

インタビュー一覧へ戻る